1 発端高そうなバーで一人で飲んでいた。かなり飲んでいたのか意識は朦朧としていた。「そんなに深酒しちゃだめよ」 ふと気が付くと、隣に女性がいる。会社の同僚の弥生に似ているふうでもあり、大学のゼミで一緒だった麗子に似ているふうもある。セミロングの髪が、栗毛色にそまっていて、二重のまぶたにが、魅力的な女性だ。 「なんかね、いろいろあるのかもしれないけど、くさっちゃだめよ」 「だってね、最近、ろくな事ないんですよ。会社は業績悪く、給料はダウン。リストラはじめるって噂もあるし、やってられないっすよ。」 「でも、それはあなたが原因ではないんでしょ?」 「そりゃあ、そうですよ。それに、今の仕事というか、会社と相性よくないのかもしれない。部長に嫌われているみたいだし。なにをやろうとしても反対されるんですよ。」 「そう、世の中にはよくあることかと思うけど」 「でもね、なんかついてなさ過ぎるんですよ」 「じゃあ、あなたにチャンスをあげましょう。これを生かすも殺すもあなた次第。生かせなかったとしても部長のせいじゃないからね」 「な、なんですか?薮から棒に、ところで、あなた、誰ですか?」 「そんなこと、どうでもいいじゃない?どうせ、ここは夢の中なんだから、半分ね」 そうか、夢なんだ。そう思うと気が少し軽くなる。 「半分って?」 その女は無視してつづけた。 「でもあなた、まるで全世界の不幸をすべて背負っているような顔してるわね」 「そんなこと、どうだっていいでしょう」 ちょっと不愉快な気持ちになった。夢とわかったから、さっそくおかわりをした。ジャックダニエルをダブルで頼んだ。 「あなたにね、5つだけ為になること教えてあげるわ。あなたには、もっと自信もったほうがいいわよ」 「なんですか?5つなんてけちらないで、もっと教えてくださいよ」 「いいの。5つだけでも教えてもらえるの、あなたはラッキーよ」 「そんなこといったって、夢のなかでしょう。夢だったら、なんだってアリじゃないですか?」 「まず、あなた、私のこと信用してないみたいだから、まずあさ起きたらパソコンを立ち上げてみることね。いまから話すこと4つが書かれたメールがはいっているから」 「えっ、4つ?5つじゃないんですか?」 「いま、ひとつ言ったでしょ。あさ、パソコンをみることで、あとの4つが正しいとことが、これで証明されるんだから」 「それはないですよ」 そういいながらダブルでおかわりしたジャックダニエルを一気に飲んだ。夢のせいか、まだまだ飲めそうだ。むしろ、意識が覚醒されてきているかのようだ。 「なにからいこうかなあ。」 「じらさないでくださいよ」 おもわせぶりな女だ。 ジャンル別一覧
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